PHP 7.4は、PHP 7シリーズの最終バージョンとして、かつて多くのWebサイトで標準的に利用されていました。

2026年現在、最新のPHP 8系が主流となっていますが、保守運用の現場では過去の資産を動かすためにPHP 7.4が必要になる場面があります。

しかし、PHP 7.4は公式のサポート期間がすでに終了しているため、通常のパッケージ管理ツールからは入手が難しくなっています。

本記事では、PHP 7.4を安全かつ確実にダウンロードするための公式アーカイブの利用手順と、導入時に確認すべき注意点を詳しく解説します。

PHP 7.4が必要とされる背景と現状

PHP 7.4は、2019年にリリースされ、高速化やプロパティの型指定といった重要な機能が追加されたバージョンです。

当時のWebアプリケーションの多くはこのバージョンに最適化されており、現在でもその互換性を維持するために必要とされることがあります。

特に、大規模な基幹システムや、独自に開発されたフレームワークを刷新できない環境では、PHP 7.4の維持が不可欠です。

ただし、2026年時点において、PHP 7.4は「End of Life (EOL)」の状態にあり、セキュリティパッチの提供が完全に停止していることを認識しなければなりません。

そのため、新規開発ではなく、あくまで「既存環境の再現」や「移行作業用」としてのダウンロードを前提としてください。

公式アーカイブからのダウンロード手順

PHPの公式サイトでは、最新版以外にも過去にリリースされたすべてのバージョンを「アーカイブ」として公開しています。

最新のダウンロードページにはPHP 7.4のリンクが表示されないため、専用のアーカイブページにアクセスする必要があります。

Windows版の入手方法

Windows環境でPHP 7.4を利用する場合は、コンパイル済みのバイナリファイルをダウンロードするのが一般的です。

以下の手順で公式のアーカイブページから取得してください。

  1. PHP for Windowsの公式アーカイブ(windows.php.net/downloads/releases/archives/)にアクセスします。
  2. リストの中からphp-7.4.xで始まるファイルを探します(最新の修正版である7.4.33が推奨されます)。
  3. システム要件に合わせて「Thread Safe」版か「Non-Thread Safe」版を選択します。
  4. 利用しているCPUアーキテクチャに合わせて「x64」または「x86」のZIPファイルをダウンロードします。

Apacheのモジュールとして動作させる場合は、Thread Safe版を選択するのが基本です。

IIS(Internet Information Services)などでFastCGIとして利用する場合は、Non-Thread Safe版を選択してください。

Linux/UNIX版(ソースコード)の入手方法

Linux環境で特定のオプションを有効にしてビルドしたい場合は、ソースコードをダウンロードします。

ソースコードは、PHP公式サイトの「Museum(博物館)」と呼ばれるセクションに保管されています。

以下の手順でURLから直接取得することが可能です。

Shell
# PHP 7.4.33のソースコードをダウンロードする例
wget https://www.php.net/distributions/php-7.4.33.tar.gz

# ファイルを展開する
tar -xzvf php-7.4.33.tar.gz

展開した後は、./configureコマンドを使用して、環境に応じたビルド設定を行ってください。

ダウンロード時のバージョン選択ガイド

PHP 7.4の中でも、複数のマイナーアップデートが存在します。

どのファイルをダウンロードすべきか迷った際は、以下の比較表を参考にしてください。

ファイルの種類推奨される利用シーン備考
PHP 7.4.33 (Latest)通常の保守・運用作業PHP 7.4系で最もバグが少ない最終版
Thread Safe (TS)Apacheモジュールとしての利用マルチスレッド環境での動作に対応
Non-Thread Safe (NTS)CLI、IIS、Nginx (PHP-FPM)シングルスレッドで動作し、軽量
Source Code (.tar.gz)Linuxでのカスタムビルドコンパイル環境が必要

基本的には、PHP 7.4系の最終リリースである「7.4.33」を選択することを強く推奨します。

古いマイナーバージョンには既知の深刻な脆弱性が含まれている可能性が高いため、特別な理由がない限り避けてください。

PHP 7.4導入時の注意点

2026年にPHP 7.4を導入する場合、単にダウンロードしてインストールするだけでは不十分です。

安全に運用を続けるために、以下の項目を必ず確認してください。

セキュリティリスクの理解

前述の通り、PHP 7.4にはセキュリティ上の欠陥が見つかっても、公式からの修正プログラムは配布されません。

インターネットに直接公開されているWebサーバーでPHP 7.4を稼働させることは、極めて高いリスクを伴います。

攻撃者が古いPHPの脆弱性を悪用して、サーバーを乗っ取ったり情報を漏洩させたりする危険性があるからです。

やむを得ず公開環境で利用する場合は、WAF(Web Application Firewall)の導入や、IP制限によるアクセス制御を徹底してください。

ライブラリと拡張機能の互換性

PHP 7.4をダウンロードしても、関連する拡張機能(curl, gd, mbstringなど)が現在のOS標準パッケージマネージャーでは取得できない場合があります。

例えば、UbuntuやCentOSの最新版では、リポジトリからPHP 7.4用の拡張機能が削除されていることがあります。

この場合、ソースコードから個別にビルドするか、サードパーティ製のリポジトリ(Ondrej Sury氏のPPAなど)を利用する必要があります。

Visual C++ 再頒布可能パッケージの確認(Windows)

Windows環境でPHP 7.4を動作させるためには、特定のバージョンのVisual C++ 再頒布可能パッケージが必要です。

PHP 7.4の場合は「Visual C++ Redistributable for Visual Studio 2015-2019 (VC15)」がインストールされていることを確認してください。

これが不足していると、php.exeを実行しようとした際に「VCRUNTIME140.dllが見つからない」といったエラーが発生します。

インストール後の動作確認

ファイルをダウンロードし、適切なフォルダに展開した後は、正常に動作するか確認を行います。

コマンドプロンプトやターミナルを開き、展開したディレクトリにあるphpコマンドを実行してください。

Shell
# PHPのバージョン情報を確認する
php -v

実行結果として、以下のようなメッセージが表示されれば成功です。

実行結果
PHP 7.4.33 (cli) (built: Nov  2 2022 15:17:47) ( NTS Visual C++ 2019 x64 )
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v3.4.0, Copyright (c) Zend Technologies

この表示が出ない場合は、パス(Environment Path)の設定が正しいか、または必要なDLLファイルが不足していないかを確認してください。

モダンな解決策:Dockerの活用

2026年の開発環境において、古いPHPをローカルPCや物理サーバーに直接インストールする方法は推奨されません。

環境を汚さず、かつポータビリティを確保するために、Dockerコンテナを利用する方法を検討してください。

Dockerを使用すれば、ホストOSに影響を与えることなく、PHP 7.4の環境を数秒で構築できます。

Dockerfile
# Dockerfileの例
FROM php:7.4-apache

# 必要な拡張機能をインストール
RUN docker-php-ext-install mysqli pdo pdo_mysql

# 作業ディレクトリの設定
COPY . /var/www/html/

Docker公式のイメージリポジトリ(Docker Hub)には、過去のPHPイメージがタグ付けされて保存されています。

これを利用することで、公式アーカイブから手動でダウンロードしてビルドする手間を大幅に削減できます。

まとめ

PHP 7.4をダウンロードする方法は、公式サイトのアーカイブセクションを利用するのが最も正当で安全な手順です。

Windows版であればコンパイル済みのバイナリを、Linux版であればソースコードを取得し、必要に応じて環境を構築してください。

しかし、2026年という現在の状況下では、PHP 7.4はセキュリティ上のリスクを抱えた古いソフトウェアであることを忘れてはなりません。

可能な限りDockerなどの仮想化技術を用いて環境を分離し、外部からの攻撃に備える対策を講じることが重要です。

本記事を参考に、適切な手順でPHP 7.4を入手し、安全な開発・運用環境の構築に役立ててください。